科学全般を広く学んだ薬剤師は医療現場において科学的エビデンス創出の一端を担うことのできる立場でもあります。そのためには、ある現象について「なぜ、どうして」と考える訓練が必須です。分子や原子・イオンは物質の基本構造であり、物理化学は化学的・物理的・生物的現象を理解するための基本となります。本講座では、物理化学の基礎的現象、主に磁気的特性に注目し「なぜ、どうして」に対する解明に取り組んでいます。また、実際の臨床現場での「なぜ、どうして」であるクリニカルクエスチョンを解明するために、分析化学・機器分析的な手法を用いての研究の他、統計学的な手法からも研究を進めています。
磁場は様々な化学反応に影響を及ぼすことがわかっている。講座では金属樹生成反応に対する磁場効果及びその反応機構を解明するべく研究している(画像1)。また、金属樹生成反応のような基礎反応だけではなく、臨床現場で光反応性が問題となっている医薬品の光反応機構を磁場効果の理論を用いて解明し、基礎から臨床へつながる研究に取り組んでいる(画像2)。
臨床現場で医薬品を用いるうえで起こる問題について、統計的、化学的分析を行うことにより問題解決の一助を行う。例えば官能試験を用いた統計的処理により、後発医薬品の選択根拠とする。また、院内製剤についての品質評価を行うことでエビデンスに基づいた使用上の注意点や問題回避の方法を提案する。
疾病情報や各種医療データを統計解析する能力は薬学部学生に必須である。本研究室ではこうした計量統計学に取り組むことも可能である。医療現場で多用される多重ロジスティック回帰分析をはじめ、背景因子の探索に用いられるデータマイニング、時系列データ解析など、種々の方法に取り組んでいる。
遷移金属や希土類金属を含んだ医薬品関連化合物の物性評価の研究を始める。粉末X線回折法や、RIを用いた物性評価法のデータを元にして、対象化合物の物性を多角的に評価していきたい。