令和3年度春季特別展
日本はほんとうに自然災害の多い国です。すでに26年を経過しましたが、阪神淡路大震災の記憶は風化することなく脳裏に刻まれています。そして10年前の2011年、東日本大震災の津波による甚大な被害は、リアルタイムで放映された映像とともに決して忘れることができません。
その後も毎年のように、日本列島の各地でいろいろな災害が起きていますが、自然災害は今に始まったことではありません。昔から日本人は地震や台風、火山噴火などの自然災害と闘ってきた歴史があります。それらの一部は文字として残されてきましたが、東日本大震災以降各地で注目を集めるようになったのが、災害に伴う供養碑や記念碑の存在です。江戸時代以降各地で造営され、被災者の供養とともに災害の記録や教訓を後世に伝えようとしたものなど、様々な碑文が残されてきました。しかし残念なことに、東日本大震災が起きるまで忘れられていたものがほとんどでした。
さて今回の展示では、将来もし津波による災害が発生しても、被害を最小限にとどめようとして建てられた、津波被害の教訓を伝える碑文を拓本で集めてみました。
展示物の中心となる拓本は、銘文を画仙紙に専用の墨を使って写し取ったものですが、簡単には動かせない石碑の銘文を実物と同じ大きさで私たちに伝えてくれるという利点があります。風化して読みにくくなったものもありますが、それは読み下し文や写真で補いながら、こうした碑文を製作した人々の想いを感じ取り、あらためて自然災害に対する備えについて見直す機会にしていただけたらと思います。
※期間中の土曜日は午後も開館します。
※ただし、4月29日(木・祝)は開館
※(公財)元興寺文化財研究所蔵拓本、他は企画者蔵
※5月31日まで緊急事態宣言が延長されたため、博物館講座は中止いたします。
津波教訓碑に耳を傾ける
狭川真一(大阪大谷大学 文学部教授)
先着50名
大阪大谷大学博物館
※新型コロナウイルス感染症の拡大状況により、会期や関連事業などを変更することがあります。
ご来館の際は、マスク着用、手指消毒、検温にご協力をお願いします。
また、1グループ5名まででご来館くださいますよう、お願いいたします。