文学部
歴史文化学科では、毎年志学台キャンパスにて歴史学・美術史学・考古学のいずれかの分野が企画して公開講座を開催しています。令和5年度は、美術史学の分野から「装束の美」と題した企画を11月25日(土)に実施しました。
今回の講座では、葵祭や時代祭りなど日本の伝統行事に欠かすことのできない束帯や唐衣裳(十二単)などの装束について取り上げました。
まずは、黒田装束店装束司・京都神祇調度装束協同組合理事長の黒田幸也氏に「装束司の美の感性」というテーマで講演をしていただきました。
黒田装束店は京都御苑・堺町御門前に店を構え、江戸時代初期より装束を調進し、仕立てから衣紋(着付け)まで一貫して携わっています。
今回はご当主の黒田幸也氏から、仕事としての装束、神祇調度装束、装束司にとっての有職故実、装束から醸しだされる感覚について資料を提示しながら講演していただきました。
次に、「唐衣裳装束(十二単)の着装実演と解説」をテーマとして、本学文学部歴史文化学科村田裕子准教授とNPO法人日本文化普及協会・衣紋道高倉流専任講師の青沼みゆき氏とが着装実演を行い、これにあわせて解説を黒田装束店装束司の黒田知子氏が行いました。
今回の十二単の構成は、濃色(こきいろ)の紫の小袖と長袴の上に、単衣、五衣(袿の五枚襲ね)、打衣、表着、唐衣、裳を順に着せ付けていきます。単衣と五衣(いつつぎぬ)の襲色目(かさねいろめ)は「紅梅の匂」です。
黒田氏には装束を仕立てる過程でのエピソードも交えていただき、着物の仕立て方とは違う、装束特有の仕立て方についてのお話も伺うことができました。
最後に檜扇を持ち、十二単の姿が完成です。
舞台を歩いて回ったあと、装束だけを残した「空蝉(うつせみ)」という姿も披露しました。
講座の最後に、講師全員が登壇し全体質疑を行いました。
参加者からいただいた沢山の質問には、長年にわたり実践で活躍している立場からお応えいただきました。
今回の講演会では、モデルの学生をはじめ準備から片付けまで歴史文化学科の学生が携わってくれました。お疲れ様でした。
実際に装束に触れ、間近で観察できたことは貴重な体験となり学びの場になりました。
最後になりましたが、講演にご協力いただいた各方面の方々に感謝いたします。
(文責:M)