人間社会学部
第7回:臨床心理士の資格試験
さて、前回と前々回のテーマはスクールカウンセラーでした。そして、この職業に就くには公認心理師か臨床心理士の資格が必要な場合がほとんどであることをお話ししました。今回は令和3年度の臨床心理士資格試験の結果を少し紹介して、公認心理師の合格率と比較してみたいと思います。
今回の臨床心理士試験は、1869名が受験申請し、最終合格したのが1179名だったそうです。合格率は65.4%となります。第4回の公認心理師試験では、21055名中12329名が合格されたようです。これは58.6%という合格率になります。第2回目や第3回目の結果と比較して、少し合格率は上がってきたような感じです。臨床心理士の試験は、毎年、大体60%を超えるくらいの合格率ですので、公認心理師の合格率も最終的には、これから同じような数字になっていくかもしれません。
合格率が60%ときくと、人それぞれ捉え方は違うでしょうが、難関とされる資格に比べると「2人に1人以上は合格するのだから2年連続受験すれば何とか資格は取れそう」と思う人がいるかもしれません。しかし、実際には2回目3回目の試験でも資格を取れない人はいるようです。
臨床心理士が公認心理師と異なる一番大きな箇所は「大学院(臨床心理士用のカリキュラムのある大学院)」を修了しないと受験資格がないことです。公認心理師は大学院(公認心理師養成のカリキュラムのある大学院)を修了するか、厚労省の認可がある専門的な施設での実務経験(実質3年とされています)などで受験資格があります。公認心理師の試験は第5回目で経過措置の最終回となります。これ以降は原則的に大学の学部などで体系的な心理学のカリキュラムの履修(25科目分)が受験資格の第1段階として必要になります。つまり、臨床心理士にしても公認心理師にしても大学を卒業してすぐには受験できないので、受験資格に到達するまで、それなりのハードルはあるということです。60%くらいの合格率はそのハードルを越えた後での数字と考えればいいと思います。
(人間社会学科教員:小西 宏幸)