文学部
今年度のフィールドワークの最終回では、飛鳥時代の仏教美術の宝庫である法輪寺・法隆寺・中宮寺を訪れました。
法輪寺はお寺の面積は小規模ですが、講堂に安置されるさまざまな時代の11体の仏像を拝観しました。注目すべきは見上げるほど大きな中央の十一面観音菩薩像と、飛鳥時代の伝薬師如来像、伝虚空蔵菩薩像です。画像で見るのと実物はやはり違います。側面や背面からも観察し、その独特の造形をゆっくり見学しました。
法隆寺では、初めに職員の方からお寺の概要をご説明いただき、西院伽藍(金堂・五重塔・大講堂)、大宝蔵院(新しい宝物館)、東院伽藍(夢殿)、そして古い方の大宝蔵殿で開催中の秋の特別展を見学しました。特別展は、五重塔の建築に関する資料や法隆寺の宝物に表される動物たちが特集されており、楽しい展示でした。法隆寺は本当に見どころが多く、西院伽藍の金堂内部や塔本塑像、大宝蔵院の玉虫厨子、百済観音、阿弥陀三尊像(伝橘夫人念持仏)など、教科書や資料集、美術全集に載っている仏教美術の優品を間近で見ることができ、その存在感に圧倒されました。(夢殿の救世観音像は残念ながら公開期間が終了していました。)
中宮寺の菩薩半跏像(伝如意輪観音菩薩像)は、少し遠くからの拝観になりましたが、穏やかに微笑む古代の美仏に魅了されました。
また、この一日でさまざまな姿の聖徳太子像を見ました。法輪寺と法隆寺は、規模は異なりますが、伽藍配置が非常によく似ています。聖徳太子の没後、太子信仰を核に、飛鳥地域の寺院が整備されていく様子が想像されます。
冬を先取りするような寒い日でしたが、法輪寺は法隆寺から少し距離があり、朝からしっかり歩いた一日でした。大量の仏像に出会い、東アジアの仏教文化圏との交流の歴史に思いを馳せた、盛りだくさんのフィールドワークになりました。(文責:T)