文学部
歴史文化学科では、「博物館実習」の授業の一環として、大阪府和泉市教育委員会との合同調査を行っています。
例年、和泉市内に所在する寺院などにうかがって、仏像をはじめとする文化財を調査しています。調査の成果は、和泉市史編さん事業のための資料として活用されます。
今年度は、2箇所のお寺にうかがい、計3日間の調査を行いました。
なお、調査にあたっては、マスクの着用や手指の消毒といった感染症対策を徹底して行いました。
ここでは、調査の様子を写真とともにご紹介しましょう。
調査は以下のような手順で行います。
まず、仏像が安置されているお堂に入ると、全員で仏壇に向かって合掌して挨拶をします。その後、仏像を檀から慎重に降ろし、積もったほこりなどを払ってから調査を行います。
仏像やその台座に積もったほこりを払っているところです。彩色や金箔をはがさないように、柔らかい筆を用いて慎重にほこりを払います。
調査にあたっては、主に調書作成と写真撮影のふたつの作業を行います。
前者の作業で作成する「調書」とは、調査内容を記録する書類のことです。
仏像調査の調書には、像の名称や所蔵者などを記入したうえで、仏像の高さ・顔の長さ・顔の幅・胸の厚み等々を計測して記入します。
さらに仏像の形状や構造、保存状態などを観察して、その知見も記入していきます。
この調書をもとに、後日改めて本格的な調査報告書を作成することになるので、調査当日の調書作成はきわめて重要な意味を持つ作業です。
書を作成しているところです。作品を丁寧に観察して、得られた知見を調書に記入します。
後者の写真撮影では、三脚を据えて、像の正面・斜め前面・側面・背面とくまなく撮影します。
写真は教員が撮影しますが、撮影にあたっての仏像の移動やライティングなどは学生が担当します。
もちろん、学生はいきなりこれらの作業を行っているわけではなく、事前に学内の授業で仏像のレプリカなどを用いて文化財の扱い方や調査方法を学んだうえで、この調査に参加しています。
とはいえ、実際にお寺に安置されている仏像の取扱いにあたっては、学内での実習とは全く異なる緊張感が生じます。
調査終了後は、みな非常に疲れた様子でしたが、歴史の重みにじかに触れる、貴重な体験をすることができました。
また、実際に仏像に触れることにより、教室での座学では得ることのできない情報を色々と得られたと思います。
例年に比べて冷え込みが厳しい時期の実施となりましたが、幸い天気にも恵まれ、滞りなく調査を終えることができました。
調査を許可してくださったご所蔵者の皆様、調査にあたって大変お世話になった和泉市教育委員会文化遺産活用課の方々に、深くお礼申し上げます。