文学部
令和5年度後期第1回目(9月30日/土曜)の歴史文化フィールドワークは、奈良市にある西大寺の拝観と平城宮跡の見学を行いました。
午前中に西大寺の見学を実施。まず、最初に日ごろは登壇できない東塔跡に入れていただき、礎石の観察を行いました。この塔は当初八角形で設計されたものが、のちに五重塔へと変更されたもので、礎石のうち中心に据えられた心礎の基盤部分には、八角形に成形されており、実際に八角形での造塔計画があったことを窺わせるものでした。このことは発掘調査でも確認され、現在の基壇を取り囲むようにブロックを八角形に並べて表示してあります。
本堂では阿弥陀如来立像を拝し、文殊菩薩像や叡尊像など貴重な仏像群を拝観しました。また四王金堂は平安時代に作られた本尊の大きな観音像を拝しつつ、その左右にある奈良時代の創建時に遡る邪鬼を踏まえた四天王像を拝観(四天王像は平安時代)し、西大寺創建時の様相を知るうえで重要な作品に触れることができました。
その後、伽藍を出て徒歩で奥ノ院へ向かいました。奥ノ院は西大寺中興の叡尊さんの墓所があるところで、巨大な石造五輪塔が立派な壇上積基壇上に据えられています。叡尊さんが1290年没で、その後ほどなくして造営されたことが知られています。付近には叡尊の弟子で西大寺の長老を務めた4名の僧侶の墓塔が建っていますが、サイズは叡尊五輪塔の2/3程度です。また、隣接する西大寺墓地には、崩壊寸前ながら人々の納骨を受け入れた骨堂(こつんどう)が残っていました。
午後からは平城宮跡です。まず平城宮跡資料館前に再集合し、資料館内の見学を行って平城宮跡の調査・研究の現状を把握しました。その後、復元された第一次大極殿の建物内を見学し、学生たちはその大きさに圧倒されていました。
次に平面復元された第二次大極殿跡に訪れ、復元された礎石や朝議の幡が立てられた支柱跡、植樹で柱を表現した整備など、工夫された整備の状況を学ぶとともに、大極殿跡からの眺めについて説明しました。東大寺大仏殿や二月堂が眺望できるだけでなく、少しビルに挟まれる形で興福寺五重塔もしっかりと確認できます。これは奈良市内における建物の高さ規制の産物であることを知ると、奈良に高い建物がほとんどないことに学生たちも納得の様子でした。さらに実際に版築工法で復元された築地土塀跡を詳細に見学し、遺構展示館を視察して本日のフィールドワークは無事に終了しました。
東塔跡の見学にあたり、西大寺様には特別のご配慮をいただきました。感謝申し上げます。