文学部
歴史文化学科では、毎年夏休みに「古文書学」や「歴史学実習」を受講する学生を中心として、大阪府羽曳野市にある吉村家にて古文書調査を行っています。
今年も「古文書学」の授業を過去に担当されていた山中浩之先生と現在担当されている飯沼雅行先生にご指導をいただきながら整理作業を進めました。
調査先の吉村家は、江戸時代に大庄屋と呼ばれる複数の村を束ねる役職をつとめた家で、茅葺きと瓦葺きを組み合わせた大和棟の屋根がとても印象的です。
近世河内地域を代表する豪農の住宅であり、戦前は旧国宝、現在は国の重要文化財に指定されています。
所有者の方に、吉村家住宅の特徴について解説していただきました。
重要文化財の説明をじかにお聞きするのも普段では体験できない貴重な機会です。
奥座敷からは美しい庭を眺めることができます。
さて今年の古文書調査は主に目録カードの作成を行いました。
古文書1点ごとにくずし字を読み取り、年代や差出人・宛先・内容を文字情報として記録する基礎作業のひとつです。
猛暑の中、細かな書状類の束に苦戦する人も...
読めない字は辞書を使って解読を試みます。
集中力と根気が必要な作業ですが、文字が読めた時の爽快感はなかなかのものです。
作業中、宝永2年(1705)の絵図面や17世紀の文書など、いろいろな発見がありました。
とくに宝永の絵図は彩色が鮮やかで部屋一面が埋まるほどの巨大な史料でした。
300年以上前の史料とは思えない保存状態の良さがうかがえます。
また、重要文化財の住宅でお昼ご飯を食べる機会もなかなかありません。
作業の合間に、古文書を収納している中性紙箱の防虫剤を入れ替えました。
箱の数が膨大なので、防虫剤の入れ替えだけでも大変な作業量です。
猛暑の中でしたが、いろいろな発見もあり、学生の皆さんは有意義な2日間を過ごすことができたのではないかと思います。
ご対応いただいた吉村家の皆様ならびにご指導いただいた先生方には、本当にお世話になりました。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
(文責:I)