文学部
歴史文化学科では、1回生の必修科目として、学外での「歴史文化フィールドワーク」を実施しています。7月1日(土)は、京都市の施設を訪れました。
まず、京都市京セラ美術館で開催中の展覧会「ルーヴル美術館展 愛を描く」を見学しました。
この展覧会には、主にルーヴル美術館に所蔵される美術作品のうち、愛をテーマとした絵画が展示されています。
学生たちは、事前の授業で展覧会の見どころを学んでいますが、実際の絵画を前にして、その迫力に圧倒されているようでした。
会場では、印象に残った作品について、学んだことや考えたことをワークシートに記入していきます。この展覧会については、以下のようなコメントがありました(一部編集しています)。
・《アモルの標的》について
事前授業で配布された資料の写真よりもはるかに大きなサイズで描かれていて驚いた。とても繊細な絵で、天使の羽根の1本1本までもが描き込まれていて感動した。
・《ナクソス島のバッカスとアリアドネ》について
神や天使は高貴なイメージがあったが、欲深く、醜い姿もあるのだと知った。景観の美しさと登場人物の描写に温度差があって、違和感があるのに見入ってしまう。
・《エンデュミオンの眠り》について
ストーリ-を知っていたので、絵画を見ることができて嬉しかった。少し細身に描かれているエンデュミオンの身体が、パンや他の英雄的な男性とは対極の中性的な雰囲気で、魅力的だった。
・《ロミオとジュリエット》について
抽象的に表現されているが、ロミオとジュリエットの悲劇がひしひしと伝わってきて作品にひきこまれた。愛によって死に至ってしまう悲しさがあるが、それ以上の美しさを感じた。
他の記述からも、学生が皆、真剣に作品に向き合ったことが伝わってきました。この展覧会は9月まで開催されていますので、機会があれば是非また訪れてもらいたいと思います。
昼食後は、京都府立陶板名画の庭へと向かいました。
京都府立陶板名画の庭は、名画の美しさを再現した「陶板画」を屋外で鑑賞できるという世界で初めての絵画庭園です。施設は世界的に有名な建築家の安藤忠雄氏が設計しています。
朝から生憎の雨でしたが、ここにきて小雨になってきました。
モネの名作《睡蓮》は、水の中で咲いているように見えます。
「画集で見たことがある」「レオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》だ!」という声があがります。
ミケランジェロの《最後の審判》の前で記念撮影をしました。
学生のワークシートには、「《最後の審判》が大きくて迫力があり、とても印象に残っている」「陶板の絵画なので、屋外でじっくりと見ることができ、普段は気づかない細部までよく見ることができて面白かった」「水の近くでリラックスして鑑賞することができた」などのコメントがありました。
ここで絵画鑑賞は終了です。
最後に、陶板名画の庭に隣接する京都府立植物園を見学しました。この植物園では、彩り豊かな庭園をゆっくりと歩き、博物館としての植物園のありかたに思いを巡らすひと時となりました。
本日のフィールドワーク全体については、以下のような感想がありました。
・西洋の絵画はあまり知識もなく不安だったが、実際に見学してみて色彩の使い方や絵の鮮やかさ、華やかさに感動した。
・美しい絵画や迫力のある油絵を見て、感じた印象を頭の中で整理する新鮮な経験ができた。
・実際に絵を見ると写真で見ていたものと色合いなどが違い、実物を見ることの重要性が分かった。
・授業や本を通して少し身につけた知識があると、それだけでも西洋絵画への興味や意識・考え方が変わるものだと実感した。
今回の「歴史文化フィールドワーク」は、西洋美術作品を実見し観察することの重要性を学ぶ得難い機会となりました。美術作品だけでなく、その背後にある歴史や文化についても多くの発見があったのではないでしょうか。貴重な機会をご提供くださいました京都市京セラ美術館、京都府立陶板名画の庭、そして京都府立植物園の皆さまに篤く御礼を申し上げます。
(文責I)