文学部
見学地は大和郡山市の郡山城と城下町です。見学に際して大和郡山市観光ボランティアクラブに依頼して、全コースをご案内いただきました。
近鉄郡山駅前に集合し、ガイドさんから簡単な解説と資料配布を受けたのち、最初の目的地である金魚資料館へ向かいました。
この金魚資料館は民営の施設で、金魚の養殖業をなさっている敷地の一角を開放して作られたもの。金魚に関する諸資料が並ぶとともに、実際の養魚場内を散策できます。
金魚池の周囲を見学
近年は金魚の養殖が少なくなり、金魚池も利用されず埋め立てられるところも多くなったとのこと。
資料館を出てまだまだ残る金魚池を眺めながら、郡山城跡へと向かう道は郡山の城下町の一部で、今もなお古い町並みが続き、風情を残すところもあります。
町並みを歩く
次は郡山城跡。天正八年(1580)に筒井順慶によって築造されたもので、天正十三年(1585)に豊臣秀長が入城し、大幅な拡張がなされたと言われます。本丸周辺の石垣は良好な残存状況を示しており、仏教関係の石造物である五輪塔や宝篋印塔、石仏、さらに礎石などが転用されていることでもよく知られています。また、天守台の石垣に転用された凝灰岩製の礎石は、平城京の羅城門に使われていたものとされ、今はその姿を留めない羅城門の規模をイメージすることができます。
石垣と解説
平成二九年(2017)には「続日本百名城」に選ばれ、令和四年(2022)11月には国の史跡に指定されました。その前後から市では天守跡の一角を整備し、樹木の伐採を進めたことから、天守台上からの眺望は素晴らしく、奈良盆地を一望できます。そこでガイドの方から詳しい話を聞きながら、学生たちはみな当時の城主の気分を味わいました。
天守台より
城跡の見学後は城下町に戻って、近年整備されている諸施設を見学しました。
箱本館「紺屋」は、江戸時代半ば頃から続いた藍染商の町屋を市が改修したもので、伝統的藍染技法を体験できる「藍染体験」(予約制)などが行われています。
箱本館の前の道路は紺屋町の通りで染物屋が集まっていたところ。道路の中央をお城の堀を水源とする紺屋川が流れており、染めた布や糸を洗っていたと言います。
箱本館のれんと紺屋川
次に訪れたのは町屋物語館。大正三年(1924)に建てられた木造三階建の遊郭跡で、各部屋や廊下の窓に様々な趣向を凝らしており、欄間や建具も見るだけで楽しいものです。郡山には多くの遊郭が存在しましたが、現在までに取り壊されてしまったものも多く、今では貴重な建物として登録有形文化財に指定されています。
町屋物語館
このあとは源九郎稲荷社を見学し、再び町並みを観察しながら集合した郡山駅まで戻り、一日の予定を終了しました。
今回は、単に観光地を巡るのではなく、行政が様々な施設を整備し、観光に力を入れている実際を見学しました。また観光ボランティアガイドの方に案内をお願いしたのは、地元がいかに観光に力を入れているかをガイドさんを通じて感じてもらうことと、ガイドさんの力が如何に地元の観光を盛り上げるのに役立っているかを考える機会にできるように企画したものです。
丸一日お付き合いをいただきました、大和郡山市観光ボラインティアガイドクラブの加藤豊二様にお礼を申し上げます。