人間社会学部
社会福祉士国家試験受験資格を取得するためには、講義系、演習系、実習系の科目をそれぞれ修得しなければなりません。その中の演習系科目の一つである社会福祉援助技術演習Ⅲは、実習終了後に受講します。この科目では、実習での体験に基づいて援助技術の実践や支援計画の作成等を行います。また、社会福祉コースのPBL(課題解決型学習)科目として位置づけています。
授業内容の一つとして、地域の課題を解決するワークショップをテーマに、参加者役とファシリテーター役に分かれてロールプレイングを行う取り組みがあります。参加者役の学生には、参加者の設定とワークショップで取り組む内容を簡単に説明した後、グループ内でそれぞれの人物像や置かれている状況を設定するための打ち合わせをしてもらいます。それと並行して、ファシリテーター役の学生には、ファシリテーター機能とワークショップの進め方を担当教員より説明しました。その後、ファシリテーター役の学生にワークショップの導入から振り返りまでの進行を担当してもらいました。いつもは担当教員が演習を進行するのですが、授業時間内の数十分は学生のみで取り組みます。時折、ファシリテーター役の学生からヘルプの視線を感じましたが、何とか最後までワークショップを成し遂げています。その後、参加者役だけでの振り返り、ファシリテーター役の学生と担当教員が振り返りを行います。
1時間にも満たない時間であり、演習に慣れた学生同士のため、ワークショップそのものはゴールまで実施することができました。しかし、ファシリテーター役の学生は、説明しすぎない、介入しすぎないという点が難しかったと振り返っていました。また、何もしていない時間があったので、役割を果たしていないのではないかと不安を感じたとも口にしていました。そこで、授業のまとめでは、次の2点について総括しました。1点目は、説明しすぎたり、介入しすぎると、参加者の主体性が損なわれるので、参加者自身の可能性を信じ、委ねることが重要であることです。2点目は、ファシリテーター機能に「待つ」ことが含まれているので、待ちながら観察している時間であったならば、役割を果たしたと言えるのではないかということです。受動的な「待つ」ではなく、能動的な「待つ」姿勢がソーシャルワーカーには求められます。ファシリテーターの機能が、ソーシャルワーカーの支援方法にも通底していることが、今回の経験を通じて実感できたようでした。